元皇女なのはヒミツです!
セルゲイは振り返って令嬢たちをぐるりと見渡してから、
「そこの君、なぜネックレスを外したんだ? ドレスに合わせて付けたアクササリーをわざわざ外す理由は?」
「そっ、それは……」と、令嬢は口ごもる。
「か、彼女はたまに金属に肌が過敏に反応することがあるの。今日もちょっと悪くなって……ねぇ?」
「え、えぇ……」
「へぇ。確かにそういうことはあるな」セルゲイは冷笑を浮かべる。「で、なぜ侯爵令嬢の茶会に付けてくるような高価なネックレスを無造作に机の上に放置するんだ? 君の付添人に預けるか、いなければ侯爵家の者に頼めば良かっただろう。フォード家を信用していないということか? 侯爵令嬢を?」
令嬢たちはばつが悪そうに黙り込んだ。
「そうよ。それにリナはあなたたちから食器類を押し付けられてずっと手が塞がっていたわ。その前はわたしたちと一緒にいたし、物を盗む暇なんてなかったんじゃない?」と、いつの間にかこっちに来ていたアメリア様が加勢してくれた。
「でっ……でも、実際にその平民のポケットの中にネックレスが入っていたわ!」
「あなた、リナが転んだときに後ろにいたわね? 一体なにをしていたのかしら?」
「…………」
私は目頭が熱くなった。セルゲイもアメリア様も私の身の潔白を主張してくれている。自分を信じてくれる人がいることが、こんなに嬉しいことなんて……。
「まぁっ、なんの騒ぎ?」
そのとき、フローレンス侯爵令嬢と……フレデリック様がこちらに向かって来た。