元皇女なのはヒミツです!
41 侯爵令嬢のお茶会⑥
フレデリック様もフローレンス様も険しい表情で私たちを見ていた。
氷点下の日のような肌に突き刺すピリピリした空気が会場内を包み込む。
「……これは、どういうことかしら?」
剣呑な空気に追い打ちをかけるように、フローレンス様の冷たい声が響いた。
「これは――」
「そこの平民が彼女のネックレスを盗んだんですっ!」
セルゲイが説明する前に、令嬢が大音声で叫んだ。
「平民のポケットの中に! これが!」
彼女は握ったネックレスを突き出すように侯爵令嬢と王太子に見せ付けた。
フローレンス様の綺麗な眉が微かに動いた気がした。
フレデリック様のほうは……怖くて見られなかった。私は決して盗みなんてやっていないけど、彼に一瞬でも疑われるのが怖かった。
「フローレンス様、テーブルに置いてあったネックレスを平民が盗ったんです」
「ち、ちが――」
「黙りなさいよ、平民!」
「そうよ! 泥棒のくせに!」
「だから、違うって言って――」
氷点下の日のような肌に突き刺すピリピリした空気が会場内を包み込む。
「……これは、どういうことかしら?」
剣呑な空気に追い打ちをかけるように、フローレンス様の冷たい声が響いた。
「これは――」
「そこの平民が彼女のネックレスを盗んだんですっ!」
セルゲイが説明する前に、令嬢が大音声で叫んだ。
「平民のポケットの中に! これが!」
彼女は握ったネックレスを突き出すように侯爵令嬢と王太子に見せ付けた。
フローレンス様の綺麗な眉が微かに動いた気がした。
フレデリック様のほうは……怖くて見られなかった。私は決して盗みなんてやっていないけど、彼に一瞬でも疑われるのが怖かった。
「フローレンス様、テーブルに置いてあったネックレスを平民が盗ったんです」
「ち、ちが――」
「黙りなさいよ、平民!」
「そうよ! 泥棒のくせに!」
「だから、違うって言って――」