元皇女なのはヒミツです!
「もう止めろ。見苦しい」
そのとき、フレデリック様の朗々とした声が私たちの言い合いを一時停止させた。号令のように皆揃って黙り込む。
「セルゲイ公爵令息、状況の説明を」
「承知しました、王太子殿下」
セルゲイはさっき起きた事件を理路整然と事細かに説明した。フレデリック様は頷いてから、続いて当事者の令嬢たちに説明を求める。こちらは支離滅裂でどう見ても嘘だと分かる酷い有様だった。
私はその間もフレデリック様の顔をまともに見られないままだった。彼の前で罪人扱いされていることが屈辱的で悔しくて悲しかった。さっきとは打って変わって全身が凍えるように冷たくなるのが分かった。