元皇女なのはヒミツです!

 この世界には魔法が使える人間がいる。
 一人一つの属性の魔法が使えて、その属性や魔力の量には個人差がある。そして高位貴族になるにつれて高い魔力を持っている。逆に平民はほとんど魔法が使えない。ちなみにアレクサンドル皇家は代々氷の魔法の使い手だった。

 リーズ王立魔法学園は別名「貴族学園」で貴族の子女たちがこぞって通っているらしい。魔法の他にも教養や学問を学べるので立身出世の道が開けるし、なにより貴族同士の交流にも役立っているのだ。

 そして、王太子であるフレデリック様もこの学園に通っていた。

「…………」

 私は生唾を呑み込んだ。全身が打ち震えた。


 ここに入学できたらフレデリック様にお会いできるかもしれない……!

 その考えだけが頭の中をぐるぐると駆け巡っていた。
 結婚は叶わなくても、せめてお顔を見るだけなら構わないわよね? どうせいずれは連邦国に戻るのだし、最後の思い出作りにリーズ王国の学校に通うだけなら構わないわよね?
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