元皇女なのはヒミツです!
セルゲイに乗せてもらった帰りの馬車の中で、私は力が抜けてがくりとうなだれた。
「リナ、大丈夫か?」
「セルゲイ……私……うぅっ…………」
ずっと堪えていた涙が堰を切ったように溢れ出た。
「わ、私のせいで……フレデリック様の立場を悪くしてしまった……。私が……調子に乗ったせいで、フレデリック様が……」
フレデリック様は今日はアメリア様の保護者としてお茶会に参加した。そこには付添人である私のことも含まれる。その私が騒動を起こしてしまった。フローレンス様のあの様子では、きっとそこを突くだろう。そして責任感の強い彼は、申し開きなんてしないで甘んじて受け入れる……。
「わざわざリーズまで来て、彼の足を引っ張って……私は、なにをやっているんだろう……」
「リナ……」
「こんなことなら、アレクセイさんの言う通りに隣国の彼の親戚の家に行けば良かった……欲張った私が悪いんだわ……私だけ革命から逃れて生き延びたから、その罰なんだわ…………」
「そんなことはない!」セルゲイが私をきつく抱きしめた。「そんなことないから……だから自分を責めるな…………」
私は彼の腕の中でわんわんと声を出して泣いた。
夕闇がゆらゆらと暗い影を運んで来た。