元皇女なのはヒミツです!

「そうだったのね……」

 確かにあのとき、私はリーズ王国の力になりたいと個人資産を使って支援をした。まさかそれがグレースを助けることになっていたなんて、驚愕だわ。

「それで、この話には続きがあってね」とジェシカ。「エカチェリーナ様は犠牲者たちの喪に服すために三ヶ月間ドレスも宝石も買わずに、おまけに黒パンと少しの具材の野菜スープだけで過ごしたらしいわ。で、グレースもそれを真似して実践してみたのよ」

「えぇえぇっ!?」

 私はびっくりして素っ頓狂な声を上げる。
 たしかに喪に服すために質素な生活をしたけど、ドレスは単にその年の自分の予算を使い果たしてしまったからで……外で慈善活動をしているとすぐに駄目になるのよね。宝石はもとよりあまり興味がないから予算のほとんどをお母様に渡しちゃっただけだし……。
 な、なんでそんな殊勝な話になってるの!?

「でも、さすがに無理だったみたいで、一週間で音をあげてこっそりと甘いお菓子を食べていたわ」と、ジェシカとデイジーはくすくすと可笑しそうに笑った。
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