元皇女なのはヒミツです!
「グレース……あなたの言う通りだったわ。私がフレデリック様に会いたい一心でリーズに来たのが間違いだった。自分の我儘であなたを巻き込んでしまって、ごめんなさいね」
「そ……それは違いますっ! し、知らなかったとはいえ、あたしがエカチェリーナ様に対して無礼な振る舞いをしていたのが悪いのです! こ……今回のこともっ……! ですから、どうか殿下が謝らないでくださいませっ……! 謝らなければいけないのはあたしのほうですっ! 本当に、申し訳ありませんでしたっ……!!」
「いいえ」私は首を横に振る。「もとはといえば、私があなた方を欺いていたことに原因があるのです。ですので、あなたはこれまでの振る舞いも、なにも気にすることはないわ」
私はグレースの瞳を捉えるようにまっすぐに見つめた。
「今回のことも……許します」
「「…………!」」
グレースもセルゲイもはっと息を呑んだ。
「で、殿下……宜しいのですか?」と、セルゲイが困惑した表情で尋ねる。「大切な手紙が……」
「もちろんよ。むしろ、これで自身の進むべき道が分かりました。しがらみがなくなって、なんだかスッキリした気分よ。……フレデリック様のことは、もう諦めようと思うの」