元皇女なのはヒミツです!

「は、はい……」と、グレースは困り顔をする。

「周りに怪しまれないように普段通りに接すること。いいわね?」

「……承知いたしましたわ、エカチェリーナ様」

「リ・ナ!」と、私は彼女の眼前で凄んだ。

 彼女は「うっ……」と呟いて上体を後ろに曲げて、

「リナ……さん」

「もうっ!」

「なんだよ、グレース。いつもみたいに『この卑しい平民が!』って言えよ」と、セルゲイがニヤニヤと笑みを浮かべて彼女をからかった。

「エ……エカチェリーナ様にそんな無礼なこと言えるわけないでしょう!?」

「変に意識しないで普通に友達として接すれはいいんだよ。なぁ、リナ?」

「そうね」

「あ……あたしとも、お友達になってくれるの……?」と、グレースはおそるおそる尋ねる。

「もちろんよ、グレース」

 私が笑顔で答えると彼女の顔がパッと明るくなった。

「ありがとう……! あたしたちは友達……いえ、大親友だわ!」

「お前、図々しすぎるだろ」
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