元皇女なのはヒミツです!

「…………」

「…………」

「…………」

 しんと水を打ったように静まり返った。受験生も試験管も驚愕した様相で私を見る。

「つ……次…………」

 しばらくして試験管が小さく声を上げた。それが合図かのように受験生たちは再びざわめき出す。
 私はばつが悪い思いをしながら後ろに下がった。視線が痛い。冷や汗が頬を伝った。
 これは……やりすぎたかしら? で、でも特待生の座を手に入れるためには仕方がないわよね? ど、ど、どうしましょう……。

 最後の受験者の順番が来て試験は終了した。私は他の受験生から注目を浴びる中、そそくさと会場をあとにする。うぅ……気まずい。

 合格発表は一週間後だ。それまでは紹介してもらった仕事に精を出すとしましょうか。




 私が校門まで来た折も折、

「で……殿下…………?」

 とても懐かしい単語で呼び止められた。
 ギクリとして振り返ると、そこには皇女時代に何度か顔を合わせたことのあるセルゲイ・ミハイロヴィチ・ストロガノフ公爵令息が唖然とした表情で私を見ていた。
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