元皇女なのはヒミツです!
私は突然の告白に頭が真っ白になって、身体が固まった。
「えっ……な、なにを言っているの……? 冗談だったら今日はもうやめて――」
「俺は本気だ」セルゲイの力が強くなった。「学園を卒業したら二人でどこか遠い国に行って一緒にならないか? リーズ王国もアレクサンドル連邦国も関係ない場所で二人で一から始めるんだよ」
「そんなっ――駄目よ。あなたは公爵令息で私は平民だわ。身分が違いすぎる」
「貴族籍は捨てる。君と一緒にいられるのなら、俺も平民として生きていく」
「ストロガノフ家の人間がなにを馬鹿なこと言っているの? そんなの、あなたのお父様が許すはずがないわ」
「俺は三男だから問題ない」
「問題だらけよ。第一、あなたの家族が悲しむわよ。平民になったら公爵家は身分が高すぎて二度と会えないわ」
「それでもいい! 君が好きなんだ!」
セルゲイは私の身体を押し潰すんじゃないかというくらいに強く強く抱きしめた。包み込まれた温かさが心地よくて、このまま彼の優しさに甘えてしまいそうだった。
でも瞬時に罪悪感に襲われる。グレースじゃないけど、王太子殿下が無理なら今度は公爵令息? 失恋で傷付いた心を代わりの男に救ってもらおうだなんて、なんという最低な女なのかしら……。