元皇女なのはヒミツです!
49 変化する日常
「リナ、おはよう」
「グレース、おは――どうしたの、その髪!?」
翌朝、登校前にグレースは私の部屋まで迎えに来てくれた。私は彼女のがらりと変わった姿に驚きを隠せず目を見張る。
「別に。ちょっと切っただけよ」
グレースはご自慢のきつく巻いた縦ロールの金髪をばっさりと切り落として、鎖骨くらいの長さになっていた。髪型はふんわりと緩く内側に巻いただけで、華美すぎる雰囲気から清楚で控えめな印象に様変わりしていた。
「ちょっとって……あんなに誇っていた縦ロールを捨てて良かったの?」
髪は女の命だ。そして美しく保つにはお金がかかる。
グレースの均整の取れた見事な縦ロールを維持するにはそれなりの経済力がないと不可能だろう。彼女自身もそれを誇りに思っていたようだけど……すっごく思い切ったわね。
「炎の魔法でところどころ焦げちゃったからもう切ることにしたのよ。なんだか身体が軽くなったわ」と、彼女は毛先を指でくるくるさせながら事も無げに言った。
「そう。あなたがいいなら別に構わないんだけど、あんなに綺麗だったのにちょっともったいないわね」
「リナは縦ロールのほうが好き? だったら、また伸ばすわ!」
「私はどちらのグレースも素敵だと思うわ。それぞれ違った魅力があると思う。だから、自分の心ときめくような髪型にすればいいんじゃないかしら」
「心ときめく髪型、ね……。そうね、検討してみるわ」と、彼女は柔らかく笑った。
「グレース、おは――どうしたの、その髪!?」
翌朝、登校前にグレースは私の部屋まで迎えに来てくれた。私は彼女のがらりと変わった姿に驚きを隠せず目を見張る。
「別に。ちょっと切っただけよ」
グレースはご自慢のきつく巻いた縦ロールの金髪をばっさりと切り落として、鎖骨くらいの長さになっていた。髪型はふんわりと緩く内側に巻いただけで、華美すぎる雰囲気から清楚で控えめな印象に様変わりしていた。
「ちょっとって……あんなに誇っていた縦ロールを捨てて良かったの?」
髪は女の命だ。そして美しく保つにはお金がかかる。
グレースの均整の取れた見事な縦ロールを維持するにはそれなりの経済力がないと不可能だろう。彼女自身もそれを誇りに思っていたようだけど……すっごく思い切ったわね。
「炎の魔法でところどころ焦げちゃったからもう切ることにしたのよ。なんだか身体が軽くなったわ」と、彼女は毛先を指でくるくるさせながら事も無げに言った。
「そう。あなたがいいなら別に構わないんだけど、あんなに綺麗だったのにちょっともったいないわね」
「リナは縦ロールのほうが好き? だったら、また伸ばすわ!」
「私はどちらのグレースも素敵だと思うわ。それぞれ違った魅力があると思う。だから、自分の心ときめくような髪型にすればいいんじゃないかしら」
「心ときめく髪型、ね……。そうね、検討してみるわ」と、彼女は柔らかく笑った。