元皇女なのはヒミツです!
沈黙……。
アレクセイは重圧感で胃がはち切れそうだった。
しばらくして、王太子が口火を切る。
「……我がリーズ王国は一時はアレクサンドル帝国の姫と婚姻を結ぼうとした仲だ。私は貴国とはこれからも友好関係でありたいと思う」
「有難いお言葉、痛み入ります。もちろん私どもも同じ思いを抱いております」
「それは喜ばしいことだな。そちらの体制が変革したことであるし、これからは民間レベルでも交流を増やせればよいのだが……。ときに副大統領、現在リーズ王立魔法学園に連邦国の二人の留学生が在籍していることを知っているか? 私としては彼らが卒業したら二国間の掛け橋になってもらいたいと思っている。二人ともとても優秀だからな」
「左様でございますか……。たしかストロガノフ公爵家のご子息が留学されているとは聞き及んでおります」
アレクセイはリナからの手紙で彼女も魔法学園に在籍していることは知っていた。
だが国家の中枢にいる人間が、他人である市井の平民の個人的な事情までをいちいち把握しているのはおかしい。なので敢えて彼女には言及しない。