元皇女なのはヒミツです!
フレデリックは我が意を得たりと冷ややかな笑みを浮かべて、
「副大統領、先ほど貴公は平民の留学生のことなど把握してない様子だったが……不可解なことにその平民は定期的にプラシド共和国に住む貴公の親戚に手紙を送っているようだな。このような稀有な話を親戚からは聞かされていなかったのか?」
アレクセイの顔が青白く変化した。身体中の動脈がどくどくと激しく鼓動を打つ。
「し……親戚といっても遠縁なもので……交流は……それほどでも…………」
もはや消え入るような声で王太子の尋問に応える。
「ほう……? では、その手紙が封を開けられずに貴公の妻であるタチヤーナ・ペトローヴナに転送されていることも知らない、と? 親族と妻の交流も把握していないのか、貴公は?」
詰んだ……と、アレクセイはがっくりと項垂れた。
目の前の王太子は全てを知っている。もう、弁解の余地もない。
フレデリックはそんな彼の様子をしばらく見つめたあと苦々しい表情で嘆息して、
「随分と虚仮にされたものだな、私も」
苛立たしげに呟いた。