元皇女なのはヒミツです!
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「ねぇ、リナ。お祭はお揃いのドレスで出掛けない? あたしが用意するわ!」と、自称リナの大親友のグレースが瞳をキラキラ輝かせた。
「はぁ? 私は別にいつもの私服でいいわ」
「駄目ぇー! リナはあたしとお揃いにするのぉーっ!」
「そんなお金があったら領民のために遣いなさいよ。水害対策は進んでるの?」
「まぁっ! やっぱりリナは個より公を優先するのね! さすがだわっ!」
「はぁ……」
私はため息をついた。あの日以来、グレースは私の身体の一部のようにずっとへばり付いている。慕ってくれるのは嬉しいんだけど、正直疲れるわ……。
いつもはオリヴィアと時々セルゲイの穏やかな昼食も、ここのところグレースのぎゃんぎゃんした騒音で落ち着かなかった。
オリヴィアなんてグレースに遠慮して昨日も今日も他の子と食べているし……でも、自分を好いてくれるグレースを無下にはできないし……それにセルゲイと二人きりになるのは困るし……で、私の頭を悩ませていた。