元皇女なのはヒミツです!

「な、なんで分かった!?」

 セルゲイの彫刻のように整った顔がみるみる上気した。これほど狼狽する彼も珍しい。

「ここ数日の二人の様子を見ていれば分かるわ」

「リ……リナは俺のことを君になにか言っていたか?」と、セルゲイはおそるおそる訊く。

「……特になにも言っていないわよ」と、オリヴィアは微かに眉を曇らせた。

「そうか……。しかしさすがリナの親友だ、よく見ているな」

 セルゲイがなんの気なしに発した「親友」という言葉にオリヴィアの胸はチクリとした。

「しんっ……」と、言いかけたところで彼女は口を噤む。

「どうした?」

「セルゲイがリナのことを好きなのはバレバレなのよ!」

 オリヴィアは暗い感情を打ち消すように、努めて明るく言ってみせた。

「えっ!? そうなのか!?」

 にわかにセルゲイの顔が引きつる。

「むしろ、なんで気付かれないと思っていたの?」

「マジかよ……」

 セルゲイは落胆しながらそろそろと去って行った。
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