元皇女なのはヒミツです!
その様子を眺めながら、オリヴィアはくすくすと笑った。
セルゲイがリナに好意を寄せているのは一目瞭然だ。それを気付かれていないと思っていたなんて、なんて鈍感なのだろう。気付いていないのは同じく鈍いリナ本人だけだ。
その二人が少しぎくしゃくしているのはすぐに分かった。ついにセルゲイがリナに想いを伝えたのだろう、ということも。
でも、リナはそのことをわたしには全く相談をしてこなかった。
わたしは子爵令息との仲のことを彼女にいつも相談しているのに、彼女はわたしにはセルゲイとのことを一言も話してくれなかった。
なんで、言ってくれないんだろう。
悩んでいるのなら喜んで相談に乗るのに。
ひょっとして……グレースは二人に起きたことを知っているの?
――と、考えれば考えるほど、疑心暗鬼になって頭の中を黒い思考が支配していった。
わたしは、本当にリナの親友なのかな……。