元皇女なのはヒミツです!
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「あら、今日は一人なのね」
オリヴィアがとぼとぼと校舎を歩いていると、前方からフローレンス侯爵令嬢が彼女に声をかけた。
「フローレンス様、ご機嫌よう」
オリヴィアは慌ててカーテシーをする。リナから教えてもらった淑女の礼だ。
リナは平民なのに、なんでも知っている。貴族の礼儀作法もたくさん教えてくれた。帝国時代に本をいっぱい読んで学んだらしい。自分なんか到底敵わない、本当に凄い子だ。
「ご機嫌よう、ミルズ男爵令嬢。あなたがリナさんと一緒にいないなんて、珍しいわね」
「そ……そうかもしれませんね」と、オリヴィアは俯く。
「まぁ、もしかして喧嘩でもしたの? 宜しければわたくしが仲裁に入って差し上げましょうか?」と、フローレンスは語りかけるように優しく囁く。
その言葉を聞いて、オリヴィアはにわかに胸がつまって泣きそうになった。