元皇女なのはヒミツです!

 新興貴族であるミルズ男爵家は財産は潤沢にあるが歴史がなかった。
 そのため、昔からの貴族たちに成り上がりだとよく揶揄されていた。一人娘のオリヴィアも例外ではなく、学園でもグレースをはじめとする令嬢たちから小馬鹿にされていた。

 そんなとき、フォード侯爵家がミルズ家に手を差し伸べてくれた。
 おかげで貴族たちの計略により一時期は経営が危うくなっていた家の事業もまた軌道に乗って、更にフォード家の派閥に入ることによって令嬢たちからの嫌がらせも次第になくなっていった。

 フローレンス自身も面倒見が良くて、つい半年ほど前は平民だったオリヴィアのことも気に掛けてくれていた。リーズ貴族のルールやマナーを教えてくれて、令嬢として困ったことがあると気さくに相談に乗ってくれた。だから彼女は密かにフローレンスに憧れていたのだった。
 リナとはちょっと違うタイプの素敵な令嬢……オリヴィアにとってフローレンスは「貴族の令嬢」としての目標だった。
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