元皇女なのはヒミツです!
「驚くのも仕方がないわ」と、フローレンスはオリヴィアの頭を優しく撫でた。「でも……リナさんも酷い人ね。一番の親友であるあなたに大事なことを黙っているなんて。本当に薄情な子……」
親友……?
その単語に吐き気がした。
親友なのに、リナの本当の名前さえ知らなかった。
親友なのに、リナはわたしに本当のことを話してくれなかった。
親友なのに、リナにずっと意地悪をしていたグレースより自分は信頼されていなかった。
親友なのに、親友なのに――……、
わたしたちって、本当に友達なの?
茫然自失としているオリヴィアの姿を眺めて、フローレンスはほくそ笑む。
そして、震えるオリヴィアの背後から包み込むように両肩を掴んで、
「可哀想なミルズ男爵令嬢……。リナさんに騙されて裏切られたのね。でも大丈夫よ、あのね……」
フローレンスはオリヴィアにそっと耳打ちをする。
オリヴィアの瞳から光が消えた。