元皇女なのはヒミツです!


 フレデリックはもうすぐ愛しのエカチェリーナに再会できるという高揚感とは別に、一抹の不安を覚えた。
 あの女がこのまま黙っているはずがない。
 なんだか、胸騒ぎがする。エカチェリーナがもう手の届かないところへ行ってしまうような……。

 彼は頭を振って悲観的な感情を吹き飛ばす。
 大丈夫だ、まだ間に合う。
 自然と拍車を加えて馬を急がせた。



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