元皇女なのはヒミツです!
「はい、これ。俺から二人にプレゼントだ」
セルゲイが差し出した両手にはカメリアをモチーフにした髪飾りがちょこんと乗っていた。
「うわぁっ! 可愛い!」
「本当ね……。でも、いいの? これってエレーナのでしょう?」
「あぁ。今日は特別な日だからな、これくらい構わないだろう。それにグレースは今日のためにリナと持ち物をお揃いにしたかったんだろう?」と、セルゲイが言うと途端にグレースの顔が綻んだ。
「そうなの! これであたしたちはお揃いだわっ! 大親友だからねっ!」
「そういえば、そんなこと言っていたわね」
グレースはお祭では私とお揃いのドレスで行きたいとしきりに言っていた。私は面倒だから断り続けたけど、まだ諦めていなかったのね。
「リナもこれくらい我慢してくれ」と、セルゲイは苦笑いする。
「分かったわ。わざわざ用意してくれてありがとう、セルゲイ。とっても可愛い髪飾りだわ!」
私は水色、グレースはピンク色の髪飾りをそれぞれ付けた。
「これでお揃いね、グレース」
「えぇっ!」
グレースは喜色満面に髪飾りを撫でた。平民には高価すぎるものだけど、嬉しそうな彼女を見ると今日くらい、いいか。