元皇女なのはヒミツです!
私たちは早速お祭会場を練り歩いた。
今日は特段にすごい人だかりだ。王都は普段から賑わっているけど、今日は屋台や噴水やランタン目当てに人が密集していた。
私とセルゲイは初めての参加なので主にグレースが先導して見て回った。光と涙の神殿で礼拝して、リーズの名産品を食べ歩きしたり各噴水を順に見物したりした。
「あっ、そうだわ!」私ははっと気付いて両手をポンと叩く。「もうすぐハートの噴水が赤く染まる時間よね? 是非見に行きたいわ」
「そう言えばそうね」グレースは時計台を見た。「それにしても詳しいわね、リナ」
「えぇ、フレデリック様のお手紙に書いてあったの。噴水の周りに赤やピンクのお花が植えてあって、とっても可愛くて令嬢たちに人気の場所だって」
「そうね――」
「あっ! あと、夜は絶対にミルキーウェイ・リヴァーを見に行きたいわ! 本当に天の川みたいに、とっても幻想的なんですってね。たしか恋人たちが共同作業で川沿いにランタンを灯して蝋燭越しにキスをすると二人はずっと結ばれる、って話よね? 素敵だわぁ! フレデリック様と一緒に灯しましょうね、って約束していたの」
「そ、そう……」
「それで、ミルキーウェイ・リヴァーの様子をアメリア様が毎年見に行くって意気込んでいるんだけど、結局いつも始まる前に寝てしまって、毎回フレデリック様がおんぶをして帰ってるっておっしゃっていたわ。なんてアメリア様らしいん――」