元皇女なのはヒミツです!
微妙な空気を感知して我に返ると、グレースとセルゲイは苦々しい表情で無言で互いの顔を見合わせていた。
重々しい空気が私たちの間で停滞した。
「あ……ごめんなさい」
私は思わず謝る。
しまったわ、つい懐かしい話を思い出して調子に乗ってしまった。
フレデリック様のお手紙はもうなくなってしまったのよね。特にグレースには嫌な気持ちにさせてしまったかしら。
それに、私ったら未だにフレデリック様のことばかりね……。
「リナが謝ることはないわ!」と、グレースは明るく答えて私の手を取った。「さ、行きましょう! 早く行かないといい席で見られないわ!」
私たちが噴水に向かおうと踵を返した折も折、
「楽しそうね」
背後からオリヴィアの声が聞こえてきた。