元皇女なのはヒミツです!
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「もうっ、お兄様遅いっ! 何時だと思ってるの!?」
お忍び用のドレスを着てすっかり用意万端のアメリアは、遅れてやって来たフレデリックを認めるなりぶーぶーと文句を垂れた。
「ごめん、ごめん。ちょっと仕事が立て込んでいてね」
フレデリックはポンと従妹の頭を撫でる。すると彼女はみるみるご機嫌になって、従兄に抱きついた。
フレデリックは祭典の当日に王都に到着した。
そして大急ぎでお忍び用の服に着替えて、その足でシェフィールド邸へ向かって叔父である公爵とこれからの行動について話し込んだ。
公爵は可愛い甥っ子を慮ってくれていて、今日のために騎士の手配やその他の事前の根回しまで済ませておいてくれた。また、シェフィールド公爵家は旧帝国の皇女の後ろ盾になると確約もしてくれた。
あとは、エカチェリーナを迎えに行くだけだ。
「ねぇ、お兄様。早くお祭へ行きましょう!」と、なにも知らないアメリアが無邪気に笑う。
「そうだね」と、フレデリックはふっと微笑んで「まずはリーナのところに向かおうか」
「えっ……!?」
アメリアは従兄の想定外の発言に硬直した。
「リーナ……お姉様が見つかったの?」
「あぁ! アミィの魔法の先生だよ! 早く家庭教師に戻って来てもらえるようにお願いしなきゃね」
アメリアはつぶらな瞳を少しの間ぱちくりさせて、
「うそっ!? 本当にっ!? リナがリーナお姉様だったの!?」
「そうだよ。さ、一緒に彼女を迎えに行こうか」
「うんっ!!」