元皇女なのはヒミツです!

56 光差す道へ④

「オリヴィア……あなた…………」

 にわかに背中に悪寒が走り、声が震えた。彼女が持っているのは初代皇帝の時代から皇家に伝わるブルーダイヤモンドの首飾りだったのだ。

 私は革命後に全財産を放棄したけど、どうしてもあれだけは手放せなかった。
 お母様、お祖母様、曾祖母様……と、代々の皇后に受け継がれる首飾りだ。それは物質的な価値ではなくて、歴代の皇后たちの想いや物語が内包されている。宝石の中からお母様たちの声が聞こえる気がする。だから、アレクセイさんにお願いをして引き取らせてもらっていたのだ。

 オリヴィアは首飾りを持って侯爵令嬢のもとへ歩き出す。
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