元皇女なのはヒミツです!

「そうねぇ……」

 侯爵令嬢は禍々しい不気味な笑みを浮かべながら、仰々しく首を傾げた。そこにはもう、リーズの令嬢たちのお手本である淑女の姿は皆無だった。

「まずは皇女様の身近な人々の記憶を消しましょうか。ストロガノフ公爵令息、パッション伯爵令嬢ね。あと、可哀想だからミルズ男爵令嬢からもあなたの記憶を消してあげる」

「やめて……」

「あぁっ、もちろん王太子殿下もね! 殿下からも皇女エカチェリーナに関する記憶は全部消し去って差し上げるわ。――そうだわ、あなたは成績だけはいいから卒業後は王太子妃であるわたくしの侍女にしてあげましょう。そして一生わたくしたちの側で、愛し合って幸せに暮らすわたくしとフレデリック殿下を死ぬまで侘びしく見届けなさい」

「黙りなさい……」

「あら、乳母にするのもいいかもしれないわね。わたくしとフレデリック殿下の愛の結晶である子供をあなたが育てるのよ。素敵じゃない?」

「いい加減に――」
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