元皇女なのはヒミツです!
「お兄様……」
「ん?」
「わたしが騎士たちを倒しておいてなんだけど……その……良かったの? 王命……」と、アメリアが不安げに尋ねる。
「あぁ、アミィのせいじゃないから気にしないでくれ」フレデリックは平然と答える。「もともと彼らを振り切ってリーナのところに向かうつもりだったからさ」
「でも! 王命に従わなかったら反逆罪になるって! ……お兄様が処刑されちゃうの?」
アメリアはうるうると瞳を湿らした。大好きな従兄が死んでしまうかもしれないと思うと怖くて悲しくて、酷く胸が痛んだ。
「大丈夫だよ」フレデリックは安心させるように従妹の頭を撫でる。「きっと父上も分かってくれるからさ」
たしかに今、自分が置かれている立場は危ういのかもしれない。だが、今は王命を拒否してでもやらなければいけないことがある。
フォード侯爵令嬢……あの女が全ての元凶だ。
調査の結果が正しければ、あの女の正体を暴けばこちらの勝ちだ。きっと父上もあれの魔法にやられているのだろう。だから近衛騎士たちに捕まる前に片付けなければ。
もし、あの女がリーナに手をかけていたら……そのときは全力で潰す。