元皇女なのはヒミツです!
「リナ、大丈夫?」
背後にいるオリヴィアが心配そうに尋ねた。彼女は平民出身だけあって、ほとんど魔力がない。学園の授業で少しは魔法が使えるようにはなったが、魔獣と戦えるほどではなかった。
だから、私がオリヴィアを守らなければ。
私を信じてくれた親友……彼女は絶対に無事に帰してみせる。
「そろそろ飽きちゃったわ。それに、わたくしには時間がないの。これから殿下と婚約式なんですもの。平民の相手なんてしている暇はないわ」
侯爵令嬢が呪文を唱えると、魔獣たちの肉体が一回り大きくなった。それらの魔力もぐんぐんと上がっていくのを感じる。
額に汗が流れた。これが、希少な闇魔法使いの力……。皇族だった私も他人より魔力が強いけど、それを凌駕する勢いだわ。
でも、負けられない。
「さようなら、皇女様」
私はきっと彼女を睨め付けて、右手に魔力を込めた。