元皇女なのはヒミツです!

 どうと大地を突き上げるような鈍い音を立てて、黒い魔法の弾が花火のように広がり私に飛んで来た。

「させるか!」

 フレデリック様が光の防壁を張って弾き飛ばす。すぐに侯爵令嬢の二度目の攻撃。跳ね返す。崖崩れのようなけたたましい音が辺りに響いて、屋敷が揺れた。

 しばらく二人の攻防が続く。膨大な魔力が明滅するように現れては消えて、突風が私たちを襲った。

 フレデリック様の息が上がる。短時間で一気に魔力を消費したせいだ。だんだんと力が削られていくのが感じられた。
 一方、侯爵令嬢は魔力の底がないかのように平然と魔法を放っていた。いえ……魔力は枯渇するどころかどんどんと増しているような……。

 時間がたつごとに、フレデリック様が押されているのが目に見えて分かった。不味い、このままでは侯爵令嬢に押し切られるわ。なんとかしないと……。
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