元皇女なのはヒミツです!
60 光差す道へ⑧
セルゲイの合図でシェフィールド家の騎士たちが一斉に勢いよく突入する。彼は侯爵令嬢を拘束し、魔力封じの魔道具を装着した。逃げられないように、周囲には筋骨隆々な騎士たちが剣を構えていた。
侯爵令嬢は普段の淑女然とした優雅な姿は見る影もなく、乱れた髪を振り乱しながら絶叫していた。
「わたくしがっ、わたくしが王太子妃なのにっ! わたくしがリーズを支配するはずなのにっ!!」
「連れて行け」
泣き喚く侯爵令嬢とは正反対に、冷淡にフレデリック様が言い放つ。騎士たちは慣れた手付きで彼女を連行した。
「今頃、王宮で叔父上がフォード侯爵に闇魔法の証拠を突き付けているところだ。僕たちもそろそろ――」
「リーナお姉様っ!」
出し抜けにアメリア様が私に向かって突撃するように抱きついてきた。
「えっと……アメリア、様……?」
「なにを言っているの! アミィでいいわ! 平民のリナが本物のエカチェリーナ殿下だったなんて、すっごく嬉しいっ!」
「アメリ――いえ、アミィ。今まで黙っていてごめんなさいね」
「いいの! だってリーナお姉様の気持ちも分かるわ! フレディお兄様ったら頼りないんだもん! セルゲイのほうがずっと頼りになるわ!」
「そ、そんなことないだろう!」
「そんなことあるもんっ!」
「そんなことないわよ」と、私は苦笑いをした。
侯爵令嬢は普段の淑女然とした優雅な姿は見る影もなく、乱れた髪を振り乱しながら絶叫していた。
「わたくしがっ、わたくしが王太子妃なのにっ! わたくしがリーズを支配するはずなのにっ!!」
「連れて行け」
泣き喚く侯爵令嬢とは正反対に、冷淡にフレデリック様が言い放つ。騎士たちは慣れた手付きで彼女を連行した。
「今頃、王宮で叔父上がフォード侯爵に闇魔法の証拠を突き付けているところだ。僕たちもそろそろ――」
「リーナお姉様っ!」
出し抜けにアメリア様が私に向かって突撃するように抱きついてきた。
「えっと……アメリア、様……?」
「なにを言っているの! アミィでいいわ! 平民のリナが本物のエカチェリーナ殿下だったなんて、すっごく嬉しいっ!」
「アメリ――いえ、アミィ。今まで黙っていてごめんなさいね」
「いいの! だってリーナお姉様の気持ちも分かるわ! フレディお兄様ったら頼りないんだもん! セルゲイのほうがずっと頼りになるわ!」
「そ、そんなことないだろう!」
「そんなことあるもんっ!」
「そんなことないわよ」と、私は苦笑いをした。