元皇女なのはヒミツです!


「リーナ、これを」

 フレデリック様はおもむろにポケットから封筒を取り出して私に渡してきた。裏返すと、宛て名にはアレクセイ・アレクセイヴィチ・カトコフと署名がしてあった。

「アレクセイさんからだわ!」

 懐かしい名前につい嬉しくなって、急いで封を開ける。


◇◇◇

リナ、自分の信じる道を進みなさい

◇◇◇


 便箋にはたった一言、それだけが書いてあった。
 じわじわと胸に込み上げるものがあった。地下牢から救出されて、平民のリナとして生きてきて……別にその生きかたも嫌じゃなかったけど、やっぱり頭の片隅にはどこかフレデリック様のことがあったから。

 私、もう我慢しなくていいのよね? 胸を張って自分はエカチェリーナだと言っていいのよね?

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