元皇女なのはヒミツです!



 そのとき、ふとセルゲイと目が合った。

「あ……」

 互いに気まずそうに目を泳がせる。

「リーナ」ふいにフレデリック様が背後から私の両肩に触れた。「話したいことがあったら、ちゃんと言ったほうがいい」

 私は彼の言葉に深く頷いて、まっすぐにセルゲイを見据えた。
 ……そう、私にははっきりと言わないといけないことがある。それが、たとえ彼を傷付けることになっても、私は前へ進まなければならないのだ。

 少しの間、沈黙が訪れる。緊張で表情がビリビリと強張るのを感じた。
 でも、このまま黙っているわけにもいかない。私は意を決して口を開く。
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