元皇女なのはヒミツです!

「さ、リーナ。行こうか」

「は、はいっ……」

 手紙で読んで憧れていた催しだけど、いざこれから始めようとするとなんだか緊張してきたわ。これから、フレデリック様と――、

「あっ!!」

 思わず叫んでしまった。たちまち顔が真っ赤になる。
 わ、私はなんてことを提案してしまったのかしら……。儀式を行うということは……フレデリック様と……キ、キ、キス、を…………。

「リーナ、どうしたの?」

 私はしどろもどろになって、

「い、いえ……あの……や、やっぱり私も来年で……」

「逃さないよ」

「きゃっ」

 フレデリック様は私を抱き上げた。ドキリと心臓が跳ね上がる。

「お、降ろしてください!」

「嫌だね。だって降ろしたらリーナは逃げちゃうでしょ?」

「それはっ……! でも、降ろして!」

「駄目駄目。さ、行くよ」

 フレデリック様は私を抱えたままランタンを受け取って川沿いへと向かった。
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