元皇女なのはヒミツです!
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まっさらな新雪のようなドレスを身に纏った私は、机に向かってペンを取る。
「あっ! エカチェリーナ様! 駄目ですよ、インクで衣装が汚れたらどうするんですか!?」
「そ、そうですよ! せっかくの衣装なのに、危険です!」
「大丈夫よ。少しだけだから」
「「もうっ~!」」
侍女見習いのグレースとオリヴィアに窘められるが、聞き流してペンを走らせると二人が慌てて私の膝にハンカチを広げた。そして二人は大判のハンカチの両端をそれぞれにつまんで、私の胸元に持って来る。
「いいですか! ゆっくり、そぉ~っと書いてくださいね!」
「絶対にインクを飛ばしたら駄目ですからね!」
「平気だって」
とは言うものの、両側の二人の視線が痛いので私はゆっくりと丁寧に言葉を綴った。