元皇女なのはヒミツです!
――コン、コン。
「リーナ、そろそろ出ようか」
廊下からフレデリック様の声がする。私たちの部屋は隣同士だ。実は二つの部屋は内部から扉で繋がっているのだけど、正式に結婚式を迎えるまでは決して開けてはならないと国王陛下から厳しく言われていて鍵がかかっていた。
「はい、参りましょう」
私はフレデリック様にエスコートをされて馬車へと向かった。
……向かったのだが、私の知っているエスコートに比べていささか距離が近い気がする。彼は私の手を握ったと思ったら、身体の後ろに回ってべったりと張り付くように歩き始めた。