元皇女なのはヒミツです!
彼に抱きかかえられたまま馬車に乗って一息ついたと思ったら、今度は彼は私の正面ではなく横に座る。
たしかに王族の馬車は大きいから広さ的に問題はないのだけれど……なぜ、わざわざ隣に座るのかしら。
「あの、フレデリック様」
「なんだい?」
「せっかく広い馬車ですので、あちらに座られたらいかがでしょう」
「もし事故などでリーナが危険な目に遭ったら隣に座っていたほうがすぐに君を守れるだろう?」
「そ、そうですか……」
馬車に乗っているあいだ、彼はどんどん私のほうに席を詰めてきて窮屈で仕方がなかったわ。