元皇女なのはヒミツです!
私はオリヴィアを見送って、仕事先の定食屋へととぼとぼと歩き始めた。
彼女の言葉が頭を反芻する。
フレデリック様とセルゲイ……私の中で今はどちらの存在が大きいのだろうか。
これまではずっとフレデリック様のことを想っていて、いつも彼のことを考えていたけれど、リーズに来て多くの人たちと出会って……いつのまにかその中心にはセルゲイがいて――……。
「きゃっ」
すっかり考えごとをして前を見ていなかった私は道端の小石に躓いた。
そのまま転びそうになるが、
「おっと。大丈夫か?」
「セルゲイ!?」
地面に倒れるすんでのところでセルゲイの腕に支えられて、そしてそのままひょいと持ち上げられた。