元皇女なのはヒミツです!

3 炎の道を行く

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 オリヴィアとグレースはリナの秘密を共有して以来、すっかり打ち解けて仲良くなっていた。今では二人だけで談笑する場面も多くなった。

「ねぇ、エカチェ――リナはどうするつもりなのかな?」と、グレースがポツリと呟いた。

 彼女は皇女のことを心から敬愛していた。家の領地を救ってくれた恩人であり、慈善活動も盛んに行っていた皇女のことを心底尊敬して、皇女様には絶対に幸せになって欲しいと思っていた。
 そのためには、皇女が愛する人と結ばれて欲しいと切に願っていた。

 オリヴィアは眉尻を下げて、

「そうね……。リナにはこの先ずっと平穏に暮らしてもらいたいし、その為には現状維持が一番なのかしら……?」

「たしかに、今のアレクサンドル国の情勢を考えると皇女として戻っても不幸な未来しか見えないわ」

 グレースは肩を落とした。
 リナには本当は平民じゃなくて、本来の身分に返り咲いてその手腕を発揮して欲しい。そして、いずれはリーズ王国の国母になって欲しい。
 ……でも、連邦の今の情勢を考えると、平民として一生を終えることが最善の道なんだと思う。

「わたしは、リナはセルゲイと一緒になるのが一番幸せになれると思うわ」と、出し抜けにオリヴィアが言った。

「セルゲイねぇ……」

 グレースも最近のリナとセルゲイのぎくしゃくした関係には気付いていた。
 不審に思ってリナを問い詰めると、彼に愛の告白をされたのだと白状した。なんて返事をしたのかと訊いたら、リナは分からないと言ったと答えた。
 この時点でリナの気持ちはセルゲイに傾いているのでは……とグレースは考えたのだった。

「たしかに王太子殿下と結婚できないとなると、ずっと側で守ってくれているセルゲイと結ばれるのが一番だわ。彼が平民になるって言っても、最低限のストロガノフ家の後ろ盾はあると思うからリナも一生安泰だと思うの」

 オリヴィアは頷いて、

「それにリナも自分の気持ちに向き合わないだけで、本当はセルゲイのことが大好きなんだと思うわ」

「全く、バレバレなのよね。そのくせ本人は鈍感だから始末に負えないわよね」

「そうね」

 二人はくすくすと笑った。そして、

「「よしっ、二人をくっつけましょう」」






「――で、具体的にはどうしましょうか?」

「あたしにいい考えがあるわ! 鈍感なリナにセルゲイは誰にも負けない素敵な殿方だと見せ付けるのよっ! それで、早くしないと他の女に取られちゃうって思わせるの!」

 グレースは意気込んだ様子で答えた。




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