元皇女なのはヒミツです!
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今日は年に一度のディアン・ルーの祭典の日だ。
リーズ王国の建国に関わった女神を祀る祭典で、お祭りの期間は普段の王都よりも賑やかになる。ただでさえ人がいっぱいなのに、今日は大通りにぎゅうぎゅうに人々が押し込まれていて、歩くのも一苦労だった。
私はセルゲイとグレースとオリヴィアのいつものメンバーで見て回ることにした。
湖に出掛けて以来、なにかとこの四人で行動することが多い。三人とも私の過去を知っているし、一緒にいると気楽なのよね。グレースはたまに暴走することもあるけど、今ではおかしいことにオリヴィアが彼女をしっかりと見張っていて、まるで仲の良い姉妹みたいで微笑ましいわ。
「ねぇ、早く行きましょう! もうすぐハート型の噴水が赤く染まる時間でしょう?」
私は皆よりちょっと先を歩きながら頭だけ振り返る。わくわくする気持ちが抑えられなくて、ついつい早足になってしまった。
「リナったら今朝からずっと言っているわね」と、オリヴィアが苦笑いをする。
「だって、ずっと楽しみにしていたんですもの! ハートの噴水と、あとミルキーウェイ・リヴァーね。リーズに来たらこの二つは絶対に見たいって思っていたから」
「ま、ディアン・ルー祭では定番よね。主に恋人たちの」と、グレースは顔を顰める。
「あぁ、グレースには縁がなさそうだもんな」とセルゲイ。
「はぁぁぁっ!? あたしだってねぇ、縁談の話は山ほどあるのよ!」
「本当かよ」
「当然よ! なにせ名門・パッション伯爵家ですから!」
「はいはい」