元皇女なのはヒミツです!

9 炎の道を行く

 セルゲイと想いが通じ合ってからも、リーズでの学園生活は平坦に続いていく。

 魔法学園は別名・貴族学園。
 貴族たちにとって、婚約者はいても恋人という存在はあってははならないので、私たちが交際していることは秘密にしていた。

 ……と言っても、グレースとオリヴィアには知られてしまったけど。
 二人とも祝福をしてくれて、グレースなんか「結婚式は絶対に呼んでね!!」なんて、気が早いことを言っていたわ。

 そう、結婚……。

 私たちはそのことで少しばかり意見が衝突していることがある。
 それは――、


「リナ、父上に卒業したら貴族籍から外れて平民になるって手紙を送ったから」

「えぇっ!? な、なんでそんな大事なことを勝手に決めるの!?」

「だって、さすがに公爵家だと平民と結婚できないからな。リナの場合、事情が事情だし。それに手続きもあるから、実家には早く伝えておいたほうがいいだろう?」

「そういうことじゃなくて……」

「リーズの魔法騎士団は実力主義だから平民でも問題ない。リナに不自由はさせないから安心しなって! もちろん、父上にはリナがエカチェリーナ皇女殿下だって言ってないから大ごとにはならないよ」

「だからっ、違うってば! ……っていうか、私も働くし」

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