元皇女なのはヒミツです!

 私たちは相談をして、二人とも卒業してもリーズ国に留まることに決めた。

 私は特待生なので、授業料は国家予算から出ている。だから、その恩返しも兼ねて国の機関で働くつもりだった。アレクセイさんからも許可をもらったしね。

 セルゲイは、もともと家門に頼らず自分の実力を試したい……という理由からリーズに来たので、彼も最初から卒業後もリーズで暮らす予定だったらしい。
 それは志が高くて立派だとは思うけど、私とこんなことになって、彼の人生まで狂わせてしまうんじゃないかって、ちょっと……罪悪感があるのだ。

 だって、セルゲイは祖国のことをとても愛しているんですもの。
 それに、家族も。

 ストロガノフ家な物凄く家族仲が良いことで有名だった。恋愛結婚である公爵と公爵夫人はもちろんのこと、三兄弟も仲良しだ。
 そんな家族の絆を、私が断ち切ってしまって本当に良いのだろうか。彼の幸せを奪うことになるのではないのだろうか。
 ……そんな風に、私の胸はチクリと傷んだのだ。
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