元皇女なのはヒミツです!
12 炎の道を行く
「エカチェリーナ皇女殿下!?」
「エカチェリーナ皇女殿下!!」
「エカチェリーナ皇女殿下??」
「エカチェリーナ皇女殿下……!」
ガタガタと貴人らしからぬ椅子のずれる音と、かつての私の名前――エカチェリーナの名がこだまする。
ストロガノフ家の人々は皆が皆、目を剥いて、してやったりとゲラゲラ腹を抱えるイーゴリ卿、呆れた様子のセルゲイ……とてもカオスだった。
「なにを騒いでいる」
そのとき、背後の扉から重々しい声が聞こえた。
それは皇帝ニコラスと並ぶくらいの威厳のある男だと評されていた……そして父帝自身も彼には一目置いていた――ミハイロ・ミハイロヴィチ・ストロガノフ公爵だった。
一瞬で部屋の雰囲気が引き締まる。私も思わず背筋を正した。
張り詰めた気配を感じながら、私はおもむろに振り返る。
ゆっくりと景色が動く。
そして公爵閣下と目が合った。
「エカチェリーナ様…………!」
彼も息子たちと同様に、言葉を失って凝り固まった。
「エカチェリーナ皇女殿下!!」
「エカチェリーナ皇女殿下??」
「エカチェリーナ皇女殿下……!」
ガタガタと貴人らしからぬ椅子のずれる音と、かつての私の名前――エカチェリーナの名がこだまする。
ストロガノフ家の人々は皆が皆、目を剥いて、してやったりとゲラゲラ腹を抱えるイーゴリ卿、呆れた様子のセルゲイ……とてもカオスだった。
「なにを騒いでいる」
そのとき、背後の扉から重々しい声が聞こえた。
それは皇帝ニコラスと並ぶくらいの威厳のある男だと評されていた……そして父帝自身も彼には一目置いていた――ミハイロ・ミハイロヴィチ・ストロガノフ公爵だった。
一瞬で部屋の雰囲気が引き締まる。私も思わず背筋を正した。
張り詰めた気配を感じながら、私はおもむろに振り返る。
ゆっくりと景色が動く。
そして公爵閣下と目が合った。
「エカチェリーナ様…………!」
彼も息子たちと同様に、言葉を失って凝り固まった。