元皇女なのはヒミツです!
14 炎の道を行く(完)
「お母様! アリスちゃんがお母様は本当に男爵夫人なのって言っていたわ! お姫様みたいだって」
「えっ!? ……お、お母様は正真正銘の男爵夫人よ!? しかも、へ、平民上がりの!」
ぽかぽかと温かい陽気な昼下がり、私は娘のアナスタシアとともに庭で小さなお茶会を開いていた。
先週の伯爵令嬢のお茶会で、娘が意地悪を言ってきた王子に熱いお茶をぶっかけるという事件を起こしたので、お淑やかに過ごす訓練の一貫なのだ。
「これからは子爵夫人だけどな」
その時、突如アレンスキー家の家長が姿を現した。
「セルゲイ!?」
「お父様っ!!」
アナスタシアは大好きな父親に勢いよく駆け寄ってぎゅっと飛び付く。彼は嬉しそうに目を細めて愛する娘を抱き上げた。
「どういうこと?」
「あぁ、この前の魔物討伐の功績が認められて陞爵が決まった」
「凄いじゃない! おめでとう!」
「しょうしゃくって、なぁに?」
「爵位が上がるってことだよ。うちの家門は今は男爵だろう? それが一つ上がって、子爵になるってことさ」
「アナも、男爵令嬢じゃなくて、子爵令嬢になるのよ」
「すごぉい!」娘の瞳がキラキラと煌めく。「わたしも、お姫様になれる?」
「お姫様は……もっと先かしら?」と、私は困り顔で肩をすくめる。
「これからも頑張って、いずれはアナを皇女様にしないとな。……あの生意気な王子よりも上の身分だ」
「なに冗談を言ってるのよ、もう。王家に対して不敬だわ」
「えっ!? ……お、お母様は正真正銘の男爵夫人よ!? しかも、へ、平民上がりの!」
ぽかぽかと温かい陽気な昼下がり、私は娘のアナスタシアとともに庭で小さなお茶会を開いていた。
先週の伯爵令嬢のお茶会で、娘が意地悪を言ってきた王子に熱いお茶をぶっかけるという事件を起こしたので、お淑やかに過ごす訓練の一貫なのだ。
「これからは子爵夫人だけどな」
その時、突如アレンスキー家の家長が姿を現した。
「セルゲイ!?」
「お父様っ!!」
アナスタシアは大好きな父親に勢いよく駆け寄ってぎゅっと飛び付く。彼は嬉しそうに目を細めて愛する娘を抱き上げた。
「どういうこと?」
「あぁ、この前の魔物討伐の功績が認められて陞爵が決まった」
「凄いじゃない! おめでとう!」
「しょうしゃくって、なぁに?」
「爵位が上がるってことだよ。うちの家門は今は男爵だろう? それが一つ上がって、子爵になるってことさ」
「アナも、男爵令嬢じゃなくて、子爵令嬢になるのよ」
「すごぉい!」娘の瞳がキラキラと煌めく。「わたしも、お姫様になれる?」
「お姫様は……もっと先かしら?」と、私は困り顔で肩をすくめる。
「これからも頑張って、いずれはアナを皇女様にしないとな。……あの生意気な王子よりも上の身分だ」
「なに冗談を言ってるのよ、もう。王家に対して不敬だわ」