元皇女なのはヒミツです!


◇◇◇



 親愛なるエカチェリーナ様


 急ぎの話なので挨拶は省きます。
 革命は帝国全土に広がって、帝都にまで迫ってきていると聞きました。
 貴方は、無事なのでしょうか?
 皇帝陛下や皇族の方々は安全な場所に避難できているのでしょうか?
 僕は心配で心配で夜も眠れません。
 準備が整い次第、リーズ王国の王宮からの使いを送ります。
 貴方は彼らと共に僕の元へ来てください。
 やっと愛しい貴方に会えることを心より楽しみにしています。


 貴方のフレデリックより



◇◇◇


 加速する革命の波濤は止まることを知らず、リーズ王国からの使者は来なかった。
 結局、私は手紙の返事は書けなかった。
 あれよあれよという間に革命軍による新政府が樹立して、死亡したはずの皇女の私に婚約話が待っていてくれるはずもなく……。

 「っつっ……」

 青いインクが雨で滲んだ。

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