元皇女なのはヒミツです!
実際に自分が平民になって、気付いたことが多くある。これらは皇族のままだったら絶対に見えなかった面だ。上から目線で与えるだけではいけなかったのだ。
「そんなに自分を卑下することはない。実際に皇女殿下は処刑しないでくれって嘆願書が提出されたくらいだ」
「えっ? そうなの?」
「副大統領から聞いていないのか? あれがあったから君が生かされたのだと思ったのだが……」
「アレクセイさんからはなにも」
私は目を丸くした。そんな話、初耳だわ。でも、なんだか嬉しいかも……。
セルゲイはニコリと笑って、
「それだけ皇女殿下は慕われていたんだよ。君がやってきたことは無駄じゃない」
「うん……ありがとう」
寄宿舎の夕食は貴族の子女のために作られただけあって質が良くてとても美味しかった。
ただ、見知らぬ令嬢からスープにべしゃりと水を掛けられた。
全く、どこの貴族か知らないけど食べ物を粗末にするなんて……アレクサンドル皇家みたいに滅んでも知らないわよ。