元皇女なのはヒミツです!
「な、なによ、平民」
「この学園にそんなルールはないわ。低俗な真似はやめなさい」
「て……低俗ですってぇ~?」グレースは顔を真っ赤にさせて叫ぶ。「あんた! 平民のくせに貴族になんて口の聞き方なの!」
「なんなのかしら、平民の分際で!」
「特待生だからって、ちょっと調子に乗りすぎじゃない?」
ジェシカとデイジーも口撃に加わった。周囲にいた生徒たちも面白そうにニヤニヤと薄笑いを浮かべながらこの光景を眺めている。
それが無言の応援かのように、グレースたちを勢い付かせた。
「そうだわ! 物を知らない平民さんには身分というものをしっかり分からせてあげるわ。――あんた、クラス全員の荷物を移動先まで持って行きなさい! 貴族の命令は絶対なのよぉ? ほら、皆さん? 平民さんが喜んで運んでくださるそうよ!」と、グレースが周囲を見回しながら大声で言った。
すると近くにいた同じクラスの面々が次々と私の前にドカドカと荷物を置いて、あっという間にうず高く積み上がった。
グレースはニヤリと口の片端を上げて、
「さぁ、早く運びなさい! そこの平民上がりもよ!」