元皇女なのはヒミツです!
「おい、やめろ」
そのとき、騒ぎを聞き付けたのかセルゲイが教室から顔を出した。
「あら、白馬の王子様がいらっしゃったわよ? 男たらしの平民さんは一体どうやって公爵令息をたらし込んだのかしらぁ? 是非その下品な手腕を教えていただきたいわぁ!」とグレース。
「お前な――」
「……分かったわ。荷物は運ぶから」と、私は片手を上げてセルゲイを制止する。
「リナ」
「大丈夫よ、セルゲイ」
私は入学以来、グレースたちに執拗に絡まれていた。基本的には相手にしないようにしているが、さすがに頭にきた。
鋭い嗅覚で私やオリヴィアのような弱い立場の人間を見つけ出して、いたぶる。最低な行為だ。
彼女たちには、やられたらやり返される、やられる側にも心があるということを知ってもらわなければならない。
私はオリヴィアの分の荷物も全て自分の前に掻き集めた。そして一箇所にまとまったところで、氷魔法でそれを覆ってガチガチに固め、風を起こして氷の塊をふわりと持ち上げる。そのまま風の勢いを強くして渦巻かせ、吹雪を起こした。
そして、