元皇女なのはヒミツです!

「おりゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああっ!!」

 猛烈な吹雪の軌道に乗せて二十メートルくらい先の廊下の端の壁に思いっ切り叩き付けた。
 ドンと地響きのような衝撃と、バリバリと激しい音を響かせながら氷の塊は崩れ落ちた。中に入っていた教科書や筆記用具もぐしゃぐしゃと潰れる。

「きゃあぁぁぁっ!」

「あたしのノートがぁっ!」

「まぁっ! 全部壊れてる!」

「嘘だろぉぉぉっ!」

 私に荷物を預けた生徒たちの阿鼻叫喚の叫び声が聞こえた。

「ほら、運んだわよ。有難く思いなさいよ」

「ふ……ふざけんじゃないわよっ! お祖母様からいただいたペンが壊れたじゃないの! どうしてくれるのっ!?」と、グレースがぎゃんぎゃんと抗議する。

「私は貴族様に言われた通りに運んだだけ。それに別に壊すなとは言われていないわ」

「はああぁっ!?」

「文句があるなら次からは荷物は自分で運びなさい」

「なぁんですってぇぇぇ~~~~~!!」

「あら、もうこんな時間。次の授業に間に合わないわ。行きましょう、オリヴィア、セルゲイ?」

「は、はい!」

「リナ……お前なぁ……」

 私は二人を連れて颯爽とその場をあとにした。グレースのとっても悔しそうな顔、滑稽だったわ。

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