元皇女なのはヒミツです!
「あらあら、平民がパーティーなんておこがましいにも程があるわぁ!」
「平民も参加するパーティーなんて侮辱ものだわ」
「っていうか、ドレスは持ってるの? まさか制服で参加するつもり?」
……噂をすれば、グレースたちが私にわざわざ嫌味を言ってきた。
「なによ、うるさいわね」
「あらぁ? あたしは哀れな平民さんを心配してあげているのよぉ? マナーも知らない平民が貴族のパーティーに参加するなんてお可哀想に。それに……」
グレースはチラリとオリヴィアを見やって、
「男爵令嬢になったばかりの元平民さんはダンスは踊れるのかしらぁ? まさかダンスもできない令嬢なんていないわよねぇ?」
「わ、わたしは……」
オリヴィアは下を向いてぎゅっと唇を噛んだ。
彼女は父親が事業に成功をして、学園に入学する半年ほど前に爵位を買ったらしい。だから貴族のマナーもまだ勉強中の身なのだ。
グレースたちはそこに付け入って、いつも彼女に嫌味を言っていた。立場も低く、親しい貴族のいない彼女は反撃できずに毎回やられるままだった。
「オリヴィアもダンスくらい踊れるわよ」
私はオリヴィアを守るように彼女の真正面に立って、グレースを睨み付けた。
「えぇぇ! そうなのぉ?」と、グレースはわざとらしく驚いてみせる。「それは今度のパーティーが楽しみだわぁ! 是非、見せていただこうかしらぁ?」
「えぇ、どうぞ」と、私はニッコリと微笑んだ。