元皇女なのはヒミツです!
セルゲイに手を引かれてホールに入ると、きらびやかな空気に呑まれた。
そこは厳粛な入学式の会場だった場所が打って変わって、華やかなパーティー会場に変化していた。
パリッとしたタキシードを着た楽団、燦然と輝くクリスタルのシャンデリア、精巧な細工をされた花瓶に活けられた色とりどりの花、芸術のような料理……どれも帝国の皇女時代を彷彿とさせるものでなんだか懐かしい気分になった。
私たちが入場すると、一瞬しんと静まり返る。毒のある視線が一斉に突き刺さった。そのあとはざわざわと私の悪口が始まった。
平民の特待生、平民の分際で、生意気な平民……どれもグレースたちから嫌になるほど浴びた言葉で思わず笑いそうになった。教養ある貴族ならもっと様々な種類の悪口を用意して欲しいところだ。さすがに飽きてきちゃったわ。